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前回の記事では、沖縄の獣医療環境や地域特有の病気、そしてキャリアパスについてご紹介しました。
今回は、沖縄で獣医療を提供する際の課題や今後の展望、実際の給与水準、そして地域コミュニティとの関わりについてお話します。
南国でのキャリアを考えている獣医師や獣医学生の皆様にとって、ぜひ知っておきたい内容ですので、前編と合わせてご覧ください。
■目次
1.沖縄での獣医療の課題と展望
2.沖縄の獣医師の平均的な給与水準
3.沖縄の獣医療コミュニティ
4.まとめ
沖縄で獣医療を提供する際に避けて通れない課題の一つは、離島での獣医療サービスです。沖縄県内でも、本島から離島へ移動するには飛行機やフェリーを使わなければならないため、離島では本島と比べて安定した獣医療の提供が難しくなっています。
しかし、いくつかの動物病院では往診に対応しているところもあり、少しずつ改善が進んでいます。
また、沖縄は国内有数の観光地でもあり、最近ではペットを連れて観光に訪れる方も増えています。これに伴い、観光客の動物に対する診療も求められるようになってきました。
さらに、以前の記事でもお伝えしたように、沖縄では地域特有の感染症が存在します。特に、一年を通して蚊が発生するため、フィラリア症などの蚊が媒介する病気には常に注意が必要です。
こうした課題に対処しながら、沖縄での獣医療の発展が期待されています。
沖縄で働く獣医師の給与水準は、経験年数や年齢などによって異なりますが、正職員の場合、月額でおおよそ30万円から50万円程度に設定されていることが多いようです。
賃金構造基本統計調査によると、経験年数0~15年の獣医師の全国平均は月額約46万円ですので、沖縄の給与水準は全国平均と大きく差がないといえるでしょう。
沖縄県獣医師会では、地域の獣医療や動物福祉に貢献するために、さまざまな活動を行っています。具体的には以下の取り組みがあります。
日本では長い間狂犬病の発症は確認されていませんが、韓国や中国など近隣地域からの流入リスクは依然として存在しています。
沖縄県内では集団予防接種に加え、動物病院でも狂犬病の予防接種を受けることが可能です。
学校で動物を飼育することで、子供たちはかけがえのない経験ができます。
獣医師は飼育動物の診療だけでなく、動物との適切な触れ合い方や飼育方法についてもアドバイスしています。
沖縄には多くの貴重な野生動物が生息しています。交通事故やノネコによる被害などで傷ついた野生動物を保護・治療し、種の保存や環境保全に貢献しています。
望まない妊娠を防ぐためにも、避妊・去勢手術費用の一部を助成する活動を行っています。
獣医師会に所属している動物病院では、緊急時に対応できるよう当番制で夜間診療を実施しています。
災害時の動物救護活動だけではなく、人材育成や救護活動の整備などに力を入れています。
迷子になった動物が無事に飼い主の元に戻れるよう、啓発活動を行い、動物愛護の意識向上に努めています。
前回とあわせて2回にわたり、獣医師として沖縄で働く魅力をお伝えしてきました。
沖縄には、他の地域にはない独自の環境が広がっており、ここでキャリアを積むことで特別な経験を得られる可能性があります。
さらに、豊かな自然に囲まれた沖縄での生活は、ワークライフバランスを充実させ、心身ともにリフレッシュしながら働くことが期待できるでしょう。
キャリアを築く場としては、新規開業に挑戦することだけでなく、大型動物病院や公的機関など、多岐にわたる選択肢があります。
今回の内容を参考にしながら、ぜひご自身に合ったワークスタイルを見つけてみてください。
■関連する記事はこちらです
・沖縄で活躍する獣医師たち|多様な仕事と魅力的なキャリアパス
沖縄ペット情報サイト
<参考文献>