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沖縄は年間を通じて温暖で湿度が高い亜熱帯気候が特徴です。この高温多湿な環境は、細菌や真菌、ノミ、ダニといった皮膚疾患の原因となる微生物が繁殖しやすい条件でもあります。そのため、愛犬や愛猫の健康を守るには、日頃の予防や皮膚トラブルの早期発見・早期治療が重要です。
今回は、沖縄の気候が犬や猫の皮膚に与える影響や、特に多く見られる皮膚疾患の種類、そして日常生活でできる予防策や治療のポイントについて詳しく解説します。
■目次
1.沖縄で多い皮膚疾患の種類と特徴
2.症状
3.治療法
4.季節別の注意点
5.予防対策
6.まとめ
皮膚疾患にはさまざまな種類がありますが、その中でも特に沖縄で多く見られるものを4つご紹介していきます。
<細菌性皮膚炎>
細菌性皮膚炎は皮膚のバリア機能や免疫力が低下することで、皮膚の常在菌が異常に増殖し、炎症を引き起こす疾患です。
主な症状としては、痒みやフケ、ニキビのような発疹(膿胞)が見られます。また、皮膚が円形に脱毛し、その周囲にかさぶたができる「表皮小環」と呼ばれる特徴的な状態が見られることもあります。
特に高温多湿の環境下で発症しやすく、沖縄の暑い季節に多く発症します。
<真菌性皮膚炎>
真菌性皮膚炎の中で特に多いのが、マラセチアというカビの仲間が原因となるマラセチア皮膚炎です。皮膚のバリア機能が低下することで、この常在菌が異常に増殖してトラブルを引き起こします。
主な症状としては、強い痒みと皮膚の赤みが現れ、脂漏性のカビ特有の臭いがするのが特徴です。
病院では皮膚検査で増殖したマラセチアを確認することによって診断します。
<アレルギー性皮膚炎>
アレルギー性皮膚炎は、花粉やノミ、ダニの死骸、食べ物などが原因でアレルギー反応が起き、皮膚に痒みが現れる疾患です。慢性的な状態になると、脱毛や細菌による二次感染が引き起こされることもあります。
沖縄ではスギやヒノキの花粉は飛散しないものの、2~3月にリュウキュウマツ、5~8月にイネ科の花粉が飛ぶため、これらに注意が必要です。
<ホットスポット>
別名「急性湿性皮膚炎」とも呼ばれ、高温多湿の環境や毛が密な品種で発生しやすい疾患です。皮膚の一部が急に膿んでジュクジュクと湿った状態になり、強い痒みや痛みを伴います。そのまま放置すると、犬や猫が患部を舐めたり掻いたりして症状がさらに悪化してしまう可能性があります。
皮膚炎は、治療が遅れることで症状が悪化したり慢性化したりすることが多いため、早期発見することが大切です。
以下のような症状は皮膚炎のサインである可能性があります。一つでも当てはまるものがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。
・体を頻繁に掻いている(痒みがある)
・皮膚が赤くなっている
・脱毛が見られる
・皮膚からいつもと違う臭いがする
・舐める、または引っ掻く行動が増えている
皮膚炎の治療には、主に投薬治療や外用薬の塗布、シャンプー療法が用いられます。ただし、皮膚炎の原因はさまざまであり、適切な治療を行わないと症状が悪化することもあります。そのため、動物病院ではしっかりと皮膚検査を行い、原因を特定した上で最適な治療法を選択します。
沖縄は四季の変化が緩やかですが、時期によって湿度が高くなるため、特に皮膚疾患に注意が必要です。それぞれの季節に合わせた対策を心がけましょう。
<梅雨時期>
梅雨の時期は湿度が80%を超えることも珍しくありません。そのため、除湿機やエアコンを使って、室内の湿度を適切に下げることが大切です。
また、沖縄の梅雨は一日中雨が降り続けることは少なく、雨が止む時間を狙ってお散歩に行くこともできます。ただし、濡れたままの体や足の裏を放置すると皮膚疾患の原因になることがあるため、帰宅後はしっかり乾かすようにしましょう。
<夏季>
夏は湿度だけでなく気温も高くなるため、熱中症のリスクが非常に高い時期です。エアコンを使って室内の温度と湿度を管理し、お散歩は早朝か夜の涼しい時間帯に行くようにしましょう。
また、一緒に海水浴を楽しむ機会も増える季節ですが、海水は皮膚トラブルの原因になることがあります。遊んだ後はシャワーでしっかり海水や砂を洗い流し、体が半乾きにならないよう丁寧に乾かすことが大切です。
<台風シーズン>
台風のシーズンは湿度がさらに上がりやすくなります。強風の影響で窓を開けて換気することも難しくなるため、エアコンやサーキュレーターを活用して温度と湿度をしっかり管理しましょう。
また、台風時には停電のリスクもあるため、愛犬や愛猫が快適に過ごせる環境を整える準備をしておくと安心です。
日頃から皮膚を健やかに保つことで、皮膚疾患を予防することができます。
<日常的なケア>
皮膚疾患を予防するためには、毎日ブラッシングを行い、抜け毛や汚れをしっかり取り除くことが重要です。
また、月に1回を目安にシャンプーをして皮膚を清潔に保ちましょう。その際、シャンプー剤は愛犬や愛猫の肌質に合ったものを選ぶことが大切です。乾燥肌の場合は保湿成分入りのものを、べたつきが気になる場合は洗浄力が高いものを選ぶと良いでしょう。
シャンプー後は皮膚が乾燥しやすいため、保湿剤を使ってしっかりケアをすることで、皮膚のバリア機能を守ることができます。
<環境管理>
室内の環境を整えることも皮膚疾患の予防につながります。室温は25℃前後、湿度は60%を超えないように空調管理を行いましょう。
また、寝床や部屋全体を清潔に保つために、こまめな掃除と洗濯を心がけることが大切です。
沖縄は風が強く、窓を開けると心地よい風が通るため、適度に換気をするのもおすすめです。ただし、外の湿度が高い場合に窓を開けっぱなしにすると、逆に室内の湿度が上がってしまうことがあります。
そのため、除湿機やエアコンを活用し、湿度が上がりすぎないように調整することが大切です。
<食事管理>
皮膚を健やかに保つためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。総合栄養食を基本とし、皮膚のバリア機能をサポートするビタミンB群や、炎症を抑えるオメガ3系不飽和脂肪酸が含まれるフードを選ぶとよいでしょう。また、これらの成分を含むサプリメントを加えるのも効果的です。
また、食物アレルギーがある場合には、動物病院で処方してもらった療法食だけを与えるようにしましょう。
年間を通して高温多湿な気候が特徴の沖縄では、犬や猫が皮膚疾患を起こしやすい環境にあります。そのため、日頃からブラッシングやシャンプーで清潔を保つこと、エアコンや除湿機で快適な室内環境を整えることが大切です。
また、皮膚疾患は治療が遅れると症状が悪化したり慢性化したりする可能性があります。皮膚の赤みや痒み、脱毛などの異変に気づいたら、早めに動物病院を受診し、適切なケアを受けるようにしましょう。
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