Copyright 2019 & PET OKINAWA All Rights Reserved.
沖縄は年間を通じて高温多湿であり、さらに観光地として多くの人や動物が行き交うため、本土に比べて犬や猫の感染症リスクが高いといわれています。
また、中には命にかかわる深刻な病気や、人にも感染する恐れのある病気も存在するため、動物病院では感染症対策を徹底し、飼い主様に向けた予防のための指導も欠かせません。
愛犬や愛猫の健康を守るために、正しい知識を身につけ、日頃からしっかりと対策を行うことが大切です。
今回は、沖縄特有の感染症の特徴や、動物病院で実施されている対策、さらに万が一感染が確認された場合の対応について解説します。
■目次
1.沖縄だからこそ注意したい感染症とは?特徴と予防法を解説
2.動物病院ではどんな感染症対策をしているの?
3.愛犬・愛猫を病気から守る!今日からできる感染症予防
4.感染症が疑われたらどうする?飼い主様が知っておくべき対応
5.おわりに
沖縄は亜熱帯気候に属し、年間を通して高温多湿の環境が続きます。このため、本土ではあまり見られない感染症が発生しやすく、犬や猫の健康を守るためには特有の感染症について理解し、しっかりと対策を行うことが大切です。
・マダニ関連疾患
沖縄は年間を通して気温が高いため、マダニの活動が一年中活発です。中でも「クリイロコイタマダニ」は沖縄県全域で確認されており、犬に寄生しやすいマダニの一種です。
マダニはさまざまな病原体を媒介し、放置すると重篤な感染症を引き起こすこともあるため、定期的な駆除や予防対策が欠かせません。
・レプトスピラ症
「レプトスピラ」という細菌による感染症で、亜熱帯地域に多く見られます。感染した犬や猫が発症すると、発熱や黄疸、腎不全などの症状が現れることがあり、重症化すると命にかかわることもあります。予防のためには、ワクチン接種が推奨されています。
また、人にも感染する可能性があるため注意が必要です。
・フィラリア症
「フィラリア」と呼ばれる細長い寄生虫が、心臓や血管に寄生する病気です。蚊によって媒介されるため、年間を通じて蚊が発生する沖縄では本土よりも感染リスクが高くなります。
フィラリア症は重篤化すると心不全を引き起こす危険な病気ですが、予防薬の投与で防ぐことができます。
・広東住血線虫症
カタツムリの外来種である「アフリカマイマイ」を介して感染する可能性がある寄生虫症です。アフリカマイマイは東アフリカ原産の外来種で、現在は沖縄の全域に生息しています。
この寄生虫は人にも感染する恐れがあるため、直接触らないように気をつけ、万が一触れてしまった場合は、すぐに手を洗いましょう。
また、犬や猫が誤って口にしないよう、散歩中や屋外での行動に注意が必要です。
動物病院を訪れる犬や猫の中には、緊張による興奮や呼吸の乱れから体温が上昇しやすくなるケースも少なくありません。特に沖縄は高温多湿の気候が続くため、熱中症のリスクを抑えることが重要です。
そのため、院内では空調管理や湿度調整を徹底し、犬や猫ができるだけリラックスして過ごせる環境づくりを心がけています。
また、感染症対策として、院内では本土と同様に基本的な消毒や滅菌を行っています。しかし、沖縄は特に感染症のリスクが高いため、次亜塩素酸を用いた消毒やこまめな清掃を徹底し、常に清潔な環境を維持しています。
さらに、診察後は手洗いやうがい、アルコールによる手指消毒を徹底し、スタッフ自身の健康管理と二次感染の防止に努めています。
加えて、より徹底した感染症対策として、院内には空気の流れを制御して感染拡大を防ぐ「陰圧室」や、徹底的に滅菌処理ができる「高圧滅菌器」などの設備を導入し、衛生環境を強化しています。
このように、動物病院では万全の対策を行い、犬や猫、そして飼い主様が安心して通院できる環境を整えています。
感染症から愛犬や愛猫を守るためには、ワクチン接種や寄生虫予防を続けることが大切です。
<ワクチン接種>
犬用の混合ワクチンにはいくつか種類がありますが、沖縄ではレプトスピラ症の予防ができる7種以上の混合ワクチンが推奨されています。
ワクチンスケジュールは本土と同じで、基本的に初年度は生後6〜8週齢で1回目の接種を行い、その後は3〜4週間おきに2回追加で接種します。そして2年目以降は、1年に1回接種します。
猫の場合も必要なワクチンについて獣医師と相談し、適切なタイミングで接種を行うことが重要です。
<フィラリア症予防>
フィラリア症を防ぐためには、予防薬を毎月欠かさず投与することが重要です。沖縄では年間を通して蚊が発生するため、本土のように「春〜秋だけの投薬」ではなく、通年での予防が必要になります。
■予防薬の種類
・スポットタイプ(皮膚に垂らす)
・おやつタイプ(嗜好性の高いチュアブル)
・錠剤タイプ(経口投与)
・注射タイプ(1年に1回の持続効果)
薬の種類によって投薬頻度や費用が異なるため、愛犬・愛猫の性格やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
また、「1回でも投薬を忘れると感染リスクが高まる」という点を理解し、確実に予防を続けることが重要です。無理なく続けられる方法を、かかりつけの獣医師と相談しながら選びましょう。
<寄生虫感染の予防>
フィラリア予防薬の多くは、寄生虫感染予防も同時に行うことができます。マダニやノミだけでなく、お腹の寄生虫を予防できるものがおすすめです。
犬のレプトスピラ症には250種類以上の血清型があり、そのうち4種類の血清型が届出伝染病に指定されています。重篤な感染症のため、発熱・嘔吐・下痢・黄疸などの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
現在、沖縄本島の動物医療体制は本土と同等のレベルに整備されていますが、県内の離島には家畜保健衛生所が設置されていない地域もあります。そのため、こうした地域では最寄りの家畜保健衛生所と密接に連携をとりながら適切な対応を行うことが重要です。
また、感染症の拡大を防ぐためには、動物病院・行政機関・飼い主様が一体となって迅速に対応することが不可欠です。万が一、感染症が疑われる場合は、早めに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
沖縄は本土より高温多湿の気候が続くため、犬や猫がかかりやすい感染症も異なります。特に、フィラリア症やレプトスピラ症は本土より感染のリスクが高いため、日頃からしっかりと対策を行うことが大切です。
愛犬・愛猫を病気から守るためには、ワクチン接種や予防薬の投与を続けることに加え、散歩時の注意や定期的な健康チェックも欠かせません。
また、沖縄は多くの観光客が訪れる地域のため、新たな感染症が持ち込まれる可能性もあります。飼い主様が正しい知識を持ち、予防を続けることで、愛犬や愛猫の健康を守ることができます。
日々のちょっとした心がけが、愛犬や愛猫の健康につながります。ぜひ、かかりつけの動物病院と相談しながら、無理なく続けられる予防を実践していきましょう。
■関連する記事はこちらで解説しています
・沖縄の秋冬から春を元気に過ごそう!|愛犬の季節別グルーミング完全ガイド
・ビーチだけじゃない!|沖縄で楽しむ犬や猫の暮らし、気をつけたい虫対策
・沖縄の気候が引き起こす犬や猫の皮膚疾患|原因から予防・治療まで徹底解説
沖縄ペット情報サイト