沖縄で愛犬と安全に暮らすために|獣医師に聞いた外傷予防のポイント

2025.06.16

沖縄の強い日差しや海、熱帯植物などは愛犬にとって思わぬケガの原因になることがあります。中には、対処が遅れると命に関わるケースもあるため、日頃からしっかりと予防しておくことが大切です。

そこで今回は、飼い主様に向けて沖縄で愛犬と安全に暮らすために知っておきたい主なケガの種類や予防のポイント、緊急時の備えについてご紹介します。

■目次
1.沖縄で特に多い犬の外傷とその原因とは?
2.愛犬をケガや事故から守るための予防策
3.緊急時の対応方法
4.外傷が発生した場合の共通の注意点
5.まとめ:愛犬との安全な生活のために

 

沖縄で特に多い犬の外傷とその原因とは?

沖縄の動物病院では、犬が自然環境や気候の影響でケガをしてしまうケースが多く見られます。ここでは、特に注意が必要な外傷とその原因について詳しくご紹介します。

肉球の火傷
夏場のアスファルトは、沖縄の強い日差しを受けて驚くほど高温になります。実際に地面の温度が60℃を超えることもあり、そのまま散歩に出ると犬の肉球が火傷してしまうことがあります。
特に日中の散歩は避け、朝や夕方など地面の温度が下がる時間帯を選びましょう。

 

マングローブのトゲによる外傷
沖縄の自然の中には、ヤエヤマヒルギやニッパヤシなど、トゲのように鋭い葉を持つマングローブ植物があります。
好奇心旺盛な犬が自然の中を探検する際に、こうした植物に触れてしまい思わぬケガにつながることがあります。

 

海洋生物による刺し傷
沖縄の海にはハブクラゲやカツオノエボシ、ウミヘビ、ゴンズイなど、刺されると危険な海洋が生物が生息しています。特に夏場は海水浴やビーチでの散歩中に刺される事故が増える傾向があります。
万が一刺されてしまった場合は、迅速に対処しないと命に関わるおそれもあるため、十分に注意しましょう。

沖縄のビーチを散歩する際の注意点について詳しく知りたい方はこちら

 

愛犬をケガや事故から守るための予防策

沖縄の暑さや特有の自然環境の中で愛犬を守るためには、日頃からしっかりとした予防が欠かせません。
ここでは、熱中症や肉球の火傷、さらには自然環境での事故を防ぐための方法をご紹介します。

<肉球の火傷を防ぐポイント>
沖縄の夏は特に暑さが厳しいため、朝や夜の涼しい時間帯にお散歩するのがおすすめです。
もし夕方に行く場合は、飼い主様の手のひらでアスファルトに触れて、熱くないことを確認してからお出かけください。

また、夏場は日が落ちていても、気温や湿度が高いことがあります。散歩の際には肉球の火傷対策に加え、次のような熱中症対策も忘れずに行いましょう。

・クールベストを着用する
・こまめに水分補給をする
・定期的に休憩を取る
・保冷剤や凍らせたペットボトルを持ち歩く

さらに、お散歩時には犬用の靴や靴下を履かせるのも効果的です。また、帰宅後は肉球専用の保護クリームを塗って、乾燥やひび割れを防ぎましょう。

 

<マングローブ周辺での安全対策>
マングローブのトゲや危険な植物から愛犬を守るために、マングローブが生えている場所ではリードを短く持ち、愛犬が茂みや草むらに入らないようにしましょう。

 

<海での事故を防ぐポイント>
ビーチに近づかないのが最も安全ですが、もしビーチをお散歩する場合には、リードを短く持ち、愛犬が危険な海洋生物に近づかないようにコントロールしましょう。

沖縄の多くのビーチでは、クラゲ防止ネットが設置された遊泳区域は原則として人専用であり、犬の入水は禁止されています。
そのため、愛犬と海辺で過ごす際には、犬の立ち入りが認められている場所かどうか、事前にルールを確認することが大切です。

 

緊急時の対応方法

緊急時の対応方法は外傷の種類によって異なります。ここでは、具体的な応急処置の方法と注意点をまとめましたので、万が一の際に役立ててください。

<肉球の火傷の場合>
患部を水でよく洗い流してから、保冷剤などをタオルで巻いたものを患部にあてて冷やすようにしましょう。
火傷は見た目よりも深刻な場合がありますので、早めに動物病院を受診しましょう。

 

<トゲによる外傷の場合>
トゲが残っている場合はピンセットなどで慎重に抜き取ります。その後、流水で患部をきれいにしましょう。
傷が深い場合や出血が止まらない場合は、動物病院で診てもらいましょう。

 

<海洋生物による刺し傷>
海洋生物に刺された場合、何に刺されたかによって適切な処置が異なります。
しかし判断が難しい場合も多いため、無理に応急処置を行わず、まずは安全な場所に移動し、すぐに動物病院に連絡することが大切です。

刺された生物が明らかで、適切な処置が可能な状況であれば以下の対応を参考にしてください。

ハブクラゲ
こすらずに酢をかけ、触手を取り除く。氷や冷水で冷やす

カツオノエボシ
こすらずに海水で触手や棘細胞を洗い流し、冷やす(真水はNG)

ウミヘビ
毒を絞り出し、45℃のお湯に30〜90分つける

ゴンズイ
40〜45℃のお湯に30分〜1時間つける

ただし、無理に触手を取ろうとせず、お湯や酢が手元にない場合は慌てずに病院の指示を仰ぎましょう。

 

外傷が発生した場合の共通の注意点

外傷が発生した場合は早急に応急処置を行うとともに、かかりつけの動物病院に電話連絡をしてください。
処置後の対応について指示を受け、受診が必要な場合は応急処置を続けながら病院に向かいましょう。

外傷の中には、治療が遅れると命に関わるものもあります。かかりつけの動物病院が診療時間外や休診日の場合に備えて、夜間や休日に診療可能な病院や緊急時の連絡方法について、あらかじめ確認しておくと安心です。

 

まとめ:愛犬との安全な生活のために

沖縄で愛犬と安全に暮らすためには、沖縄特有の自然環境による外傷リスクを知り、万が一のときに適切に対応できるよう備えておくことが大切です。
中には命に関わるケースもあるため、日頃からできるだけリスクを避ける生活を意識しましょう。

毎日を安心して楽しく過ごすためにも、予防策や緊急時の対応方法をあらかじめ確認し、いざというときに落ち着いて行動できるよう準備しておくことが大切です。

 

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