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沖縄は、一年を通して温暖で湿度の高い気候が続く地域です。特に梅雨の時期や夏場は、犬や猫の健康に影響を与えやすく、体調を崩しやすい環境といえます。
そのため、愛犬や愛猫が快適に過ごせるよう、年間を通じた予防ケアのスケジュールを立てておくことが重要です。
あわせて、定期的な健康診断やご家庭でのこまめなケアも健康維持には欠かせません。
今回は、飼い主様に向けて沖縄特有の気候が犬や猫にどのような影響を与えるのか、そして年間を通じてどのように健康を守っていけばよいのかをご紹介します。
■目次
1.沖縄で暮らす犬や猫が直面しやすい健康リスクとは?
2.年間の予防医療スケジュールを立てよう
3.定期健康診断でチェックすべきポイント
4.家庭でできる日々の健康管理
5.おわりに
沖縄の亜熱帯気候は犬や猫の体には思わぬ負担がかかることもあり、日常の健康管理には注意が必要です。
<熱中症>
犬や猫は人間のように汗をかいて体温調節をすることができません。そのため、高温多湿の沖縄では熱中症のリスクが特に高くなります。
中でもパグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、ペキニーズ、エキゾチック・ショートヘア などの短頭種は、鼻の構造上熱がこもりやすく、より注意が必要です。
◆熱中症の主な症状
・口を開けて浅く早い呼吸をする(パンティング)
・ヨダレが大量に出る
・体や耳が異常に熱い
・嘔吐、元気がない、ぐったりしている
特に嘔吐や意識がもうろうとしている場合は、すぐに体を冷やして動物病院へ連れて行ってください。放置すると命に関わることもあるため、早めの対応を心がけましょう。
▼熱中症対策について詳しく知りたい方はこちら
<皮膚炎>
犬や猫の皮膚には、ブドウ球菌やマラセチアなどの「常在菌」が存在しており、普段はこれらの菌がバランスを保ち、問題を引き起こすことはありません。
しかし、高温多湿の環境ではこのバランスが崩れやすくなり、常在菌が異常に増殖することで皮膚炎を引き起こすことがあります。
特に、アトピー性皮膚炎を持っている犬や猫はもともと皮膚のバリア機能が弱いため、より炎症を起こしやすくなります。
皮膚が赤くなっている、かゆがる、フケが増えるなどの症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
▼沖縄の気候が引き起こす犬や猫の皮膚疾患について詳しく知りたい方はこちら
<寄生虫感染症>
沖縄では蚊、マダニ、ノミなどの寄生虫が一年中活動しています。そのため、以下のような寄生虫感染症にかかるリスクがあります。
・フィラリア症(蚊が媒介)
・バベシア症(マダニが媒介)
・ノミアレルギー性皮膚炎(ノミの唾液に反応)
▼愛犬や愛猫と安全に暮らすための虫対策について詳しく知りたい方はこちら
犬や猫の健康を守るためには、年間を通じた予防ケアが欠かせません。しかし、犬と猫では必要な予防内容が異なるため、それぞれに適したスケジュールを立てることが大切です。
<犬の予防医療スケジュール>
犬の場合、狂犬病予防接種が法律で義務付けられています。
毎年4月から6月は「狂犬病予防注射月間」とされており、市町村の集合注射や動物病院で接種を受けるようにしましょう。
加えて、任意の混合ワクチンも重要です。ジステンパーやパルボウイルスなど、さまざまな感染症から愛犬を守るために、年1回の接種が推奨されています。
混合ワクチンの接種時期に制限はありませんが、狂犬病ワクチンと合わせて春に受けておくと、忘れにくく管理しやすくなります。
なお、ワクチンの接種間隔には注意が必要です。
・混合ワクチンを先に打つ場合:次の狂犬病ワクチンまで1か月以上あける
・狂犬病ワクチンを先に打つ場合:1〜2週間後に混合ワクチンの接種が可能
また、沖縄ではフィラリア症やノミ・ダニの予防が一年中必要です。多くは月1回の投薬ですが、一年間有効な注射やスポットタイプの薬もあります。
どの方法が合っているかは、動物病院で相談しながら決めると安心です。
<猫の予防医療スケジュール>
猫は犬と違い、法律で義務付けられたワクチン接種はありませんが、混合ワクチン接種とノミ・ダニ予防は猫にも推奨されています。
「完全室内飼いだから大丈夫」と思われがちですが、飼い主様の衣服や靴を介してウイルスや寄生虫が持ち込まれるケースもあるため、年1回のワクチン接種と、月1回のノミ・ダニ予防をしっかり行っておきましょう。
さらに、フィラリア症は蚊によって感染します。
犬に比べて猫の発症率は低いものの、ひとたび感染すると治療が難しいため、予防が最も重要な対策になります。
犬や猫には、本能的に痛みや体調不良を隠す習性があります。さらに、初期段階ではほとんど症状が現れない病気も少なくありません。そのため、定期的な健康診断によって異常を早期に発見し、迅速に対応することが大切です。
健康診断の頻度は、若いうちは年1回が目安です。そして、7歳頃からのシニア期に入ったら、年2回(半年に1回)のペースで受けるようにしましょう。
<健康診断の主な検査項目>
◆血液検査
全身の健康状態を確認するために行う検査です。若いうちは、肝臓や腎臓など特定の項目に絞って検査することが一般的ですが、シニア期に入ると病気のリスクが高まるため、より詳細な検査が推奨されます。
◆尿検査
尿の状態を調べることで、膀胱炎や尿路結石、腎臓の異常の有無を確認します。特に腎臓病は初期症状が分かりにくいため、尿検査で早期発見できることもあります。
検査を受ける際は、できるだけ新鮮な尿を持参すると、より正確な結果が得られます。
◆糞便検査
寄生虫の有無や腸内細菌のバランス、病原菌の存在などを確認します。新しく家族に迎えたばかりの犬や猫はお腹に寄生虫がいる可能性が高いため、できるだけ早めに検査を受けることが大切です。
また、下痢や便秘が続いているときや、便の色・においに違和感があるときも腸内環境の変化が考えられるため、受診を検討しましょう。
◆レントゲン検査
骨や内臓の大きさ、位置、形などの異常を確認するための検査です。
子犬・子猫の場合は、先天的な異常が見つかることもあるため、健診時に一度受けておくと安心です。
◆超音波検査(エコー検査)
心臓や肝臓、腎臓などの動きや内部の状態を、リアルタイムで観察できる検査です。レントゲンではわかりにくい異常にも気づきやすいため、特にシニア期には血液検査と併せて定期的に行うのが望ましいでしょう。
毎年の健康診断に加えて、日頃のケアやチェックも、愛犬・愛猫の健康を守るために欠かせません。
毎日のふれあいの中で小さな変化に気づければ、病気の早期発見につながることもあります。
<歯磨きで歯の健康を守ろう>
犬や猫は歯周病になりやすく、3歳以上の約8割が発症しているといわれています。
歯周病は放っておくと痛みや口臭の原因になるだけでなく、重症化すると歯が抜けたり、全身の健康にも影響を及ぼしたりすることがあります。
そのため、乳歯が生え始めた頃から歯磨き習慣を始めることが大切です。
無理のないステップで、少しずつ慣らしていきましょう。
1.まずは口の周りをやさしく触ることからスタート
2.ガーゼや歯磨きシートを指に巻いて、歯を軽く拭く
3.慣れてきたら歯ブラシを使って、少しずつ磨いていく
嫌がってしまうと続かなくなるため、おやつや遊びと組み合わせながら、楽しい時間になるよう工夫するとスムーズです。
<グルーミングで全身をチェックしよう>
ブラッシングは毎日行い、シャンプーや爪切りは月1回を目安にしましょう。
・ブラッシング:抜け毛を取り除き、皮膚の健康をチェックできる大切な時間です。
・シャンプー:皮膚を清潔に保ち、かゆみや臭いを防ぎます。ただし、洗いすぎると皮膚のバリア機能が低下するため、適度な頻度で行いましょう。
・爪切り:爪が伸びすぎると歩きにくくなったり、巻き爪になって肉球を傷つけたりする原因にもなります。
グルーミングの際は、しこりや皮膚の赤み、ノミやダニがついていないかも確認すると安心です。
▼季節別のグルーミングのポイントについて詳しく知りたい方はこちら
<健康チェックを習慣にしよう>
スキンシップの時間は、健康状態をさりげなく観察できる大切なひとときです。
以下のような異常がないかをチェックする習慣をつけておきましょう。
・皮膚や被毛:毛が薄くなっている、フケが多い、かゆがっている
・目:充血している、目ヤニや涙やけが目立つ
・耳:汚れやにおいが強い、耳を気にして引っかく
・口・歯:口臭がある、歯石がついている
・肉球・爪:ひび割れや傷がある、爪が伸びすぎている
・排泄物(うんち・おしっこ):便や尿の色・形・におい・回数に変化がある
・体重:定期的に測り、増減がないかを確認
沖縄の温暖な気候は、時に犬や猫の健康に影響を及ぼすことがあります。だからこそ、年間を通じた予防医療のスケジュールを立て、ご自宅での健康管理を習慣にしておくことが大切です。
定期的なワクチン接種や寄生虫予防、毎日のケアを続けることで、多くの病気を未然に防ぐことができます。
しかし、どれだけ気をつけていても、すべての病気を完全に防ぐのは難しいのが現実です。
愛犬や愛猫に少しでも辛い思いをさせないためにも、定期健診や日々の健康チェックを欠かさず行い、異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。
毎日のケアと定期的な健康診断を続けて、愛犬・愛猫の健康を守っていきましょう。
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