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犬や猫はもともと体温調節があまり得意ではありません。そのため、1年を通して高温多湿な気候が続く沖縄では、脱水症状や熱中症のリスクが特に高くなります。
こうした環境の中で、「水分はしっかり摂れているかな?」「脱水症状って、どうやって気づけばいいんだろう?」といった不安を抱えている飼い主様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、沖縄にお住まいの飼い主様へ向けて、沖縄特有の気候が犬や猫の体にどのような影響を与えるのか、そして毎日の暮らしの中で心がけたい水分補給の工夫や、万が一に備えて知っておきたい脱水症状の見分け方について解説します。
■目次
1.沖縄の気候と犬や猫への影響
2.適切な水分補給の方法
3.脱水症状の見分け方
4.熱中症予防のための環境づくり
5.緊急時の対応と受診のタイミング
6.まとめ
犬や猫は、人間のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。
そのため、犬は「パンティング」と呼ばれる浅く速い呼吸で体の熱を逃がし、猫は毛づくろいをして体に付いた唾液を蒸発させることで、少しずつ体温を調節しています。
沖縄の年間平均気温は約24.4℃と1年を通して温暖で、冬でも18℃前後までしか気温が下がらない日が多くあります。さらに湿度も高く、冬でも70%近い日が続くことも少なくありません。
このような高温多湿の環境は、体にこもった熱をうまく逃がすことが難しく、犬や猫にとっては熱中症を起こしやすい状況といえます。
特に注意が必要なのは、梅雨明けから本格的な暑さが続く7月〜9月の時期です。中でも日中の14時〜16時頃は気温、湿度ともに最も高くなり、熱中症に関するトラブルが多く報告されています。
さらに、熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こる可能性があります。
例えば、エアコンを使用せずに愛犬や愛猫をお留守番させていた結果、室内で熱中症を発症してしまったというケースも実際にあります。
特に暑さが厳しい時期は室内でも快適な温度を保ち、こまめな水分補給を心がけて熱中症のリスクを減らすことが大切です。
▼熱中症予防のケアについてはこちら
先述の通り、犬や猫が健康に過ごすためには、こまめな水分補給が欠かせません。
一般的に、1日に必要とされる水分量は体重1kgあたり40〜60ml程度といわれており、十分な水分が摂れていないと脱水症状だけでなく、泌尿器系のトラブルや体調不良につながることもあります。
そのため、いつでも飲めるように、清潔で新鮮な水を常に用意してあげることが大切です。
さらに、水を飲む機会を増やせるように、おうちの中に複数の給水スポットを設けるのもおすすめです。流れる水に興味を示す場合は、ウォーターファウンテン(自動給水器)を設置することで、自然と飲水量が増えることもあります。
また、足腰が弱くなってきた場合や、水をあまり飲みたがらない様子が見られるときには、水分を多く含んだウェットフードを食事に取り入れるとよいでしょう。食事からも水分を補えるように工夫することで、脱水の予防につながります。
犬や猫が脱水状態に陥ると、見た目や行動にさまざまな変化が表れることがあります。
以下のような様子が見られた場合は、脱水のサインである可能性がありますので、注意が必要です。
・元気がない、ぐったりしている
・食欲が落ちている
・皮膚を軽くつまんでも、すぐに戻らず弾力がない
・おしっこの量が少なく、色が濃い
・鼻が乾燥している
・目が落ち窪んでいるように見える
猫は、もともと砂漠で暮らしていた祖先を持つため、少ない水分でも体を維持できる仕組みがあります。
そのため、急激な脱水にはある程度耐えられるといわれていますが、脱水状態が長く続くと腎臓などに大きな負担がかかり、命に関わることもあります。
「いつもと様子が違うかも」と感じたときは、なるべく早めに動物病院を受診するようにしましょう。
熱中症を防ぐためには、過ごす場所やシチュエーションごとに適切な対策を行うことが大切です。ここでは、「室内」「外出先」「車内」の3つの場面に分けて注意点をご紹介します。
<室内>
高温多湿な気候が特徴の沖縄では、できるだけ室内で過ごすことが基本となります。
エアコンや扇風機を活用して、室温と湿度を快適に保ちましょう。
その際、冷風が直接体に当たらないように配置を工夫することも大切です。エアコンの風量は「自動設定」にしておくと、効率よく室内全体を冷やすことができます。
また、沖縄は日差しが強く、直射日光が差し込む場所は特に気温が上がりやすくなります。窓際にはカーテンやブラインドを使って、日差しをやわらげる工夫をしましょう。
▼室内飼いで気をつけるべきことについてはこちらで解説しています
<外出先>
お散歩に出かける場合は、気温が比較的低い早朝や夕方以降の時間帯を選ぶようにしましょう。
日中に外を歩く際は、できるだけ日陰を選んで歩くことを意識してください。また、ネッククーラーやクールベストなどの冷却グッズを取り入れるのも効果的です。
特に注意が必要なのはアスファルトの温度です。真夏の日中には、60℃を超えることもあり、肉球がやけどしてしまうおそれがあります。
お散歩前には、飼い主様の手でアスファルトを触ってみて、「熱い」と感じる場合は時間帯をずらすか、お散歩自体を控えるようにしましょう。
沖縄では海辺をお散歩コースにしている飼い主様も多いかと思います。白い砂浜はアスファルトに比べて温度が上がりにくい傾向はありますが、直射日光が強く当たると熱を持つこともあり、完全に安心とはいえません。また、照り返しも強いため、体温が上がりやすくなることもあります。
そのため、砂浜でのお散歩も日中は避け、涼しい時間帯を選ぶようにしましょう。
<車内>
夏場の車内は、エンジンを止めた直後から一気に温度が上昇し、わずかな時間でも熱中症の危険性が高まります。
移動中はエアコンで車内温度をしっかりと管理し、移動用クレートには冷却マットを敷くなどの暑さ対策も忘れずに行いましょう。
また、犬や猫を車内に残したまま離れることは絶対に避けてください。短時間でも重大な事故につながるおそれがあります。
万が一、愛犬や愛猫に脱水症状が見られた場合は、まず落ち着いて対応することが大切です。
水分が摂れる状態であれば、常温の水やペット用の経口補水液を少しずつ何度かに分けて与えるようにしましょう。
また、すぐに涼しい場所へ移動させて、濡らしたタオルや冷却グッズを使って体を冷やしてあげてください。
以下のような症状が見られる場合は命に関わるおそれがあるため、応急処置を行いながらすぐに病院へ連絡し、指示を仰いでください。
・ぐったりして動かない
・呼吸が荒く、ハアハアと苦しそうにしている
・嘔吐や下痢が続いている
・意識がもうろうとしている、反応が鈍い
応急処置で一時的に症状が落ち着いたように見えても、自己判断で様子を見るのではなく、必ず動物病院を受診するようにしましょう。
熱中症や脱水の影響は、見た目だけでは判断できないことが多く、体の中でダメージが進行している可能性もあるため、獣医師による診察が必要です。
沖縄のように高温多湿な気候では、脱水や熱中症を引き起こしやすいため、日頃からこまめな水分補給や室内環境の管理を心がけることが大切です。
とはいえ、どれだけ注意していても100%予防するのは難しいのが現実です。だからこそ、日々の様子をよく観察し、少しでも異変に気づいたときには早めに対応することが、愛犬・愛猫の命を守ることにつながります。
「ちょっと心配かも……」と感じたときは、迷わずかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
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