Copyright 2019 & PET OKINAWA All Rights Reserved.
沖縄は台風が頻繁に接近する地域であり、台風シーズンは飼い主様だけでなく、愛犬や愛猫にとっても警戒が必要な時期です。
特に、音や周囲の変化に敏感な犬や猫は、台風による騒音や環境の変化に強いストレスを感じることがあります。
そこで今回は、沖縄にお住まいの飼い主様が台風の季節を安全に過ごせるように、事前の備えから台風接近時、通過中、通過後のケアまで、段階ごとに解説します。

■目次
1.沖縄の台風シーズンとは|犬や猫への影響に注意
2.台風に備えるために|事前の準備と環境づくり
3.台風が近づく前に|自宅でできる安全対策とケア
4.台風が通過している間に|不安を和らげるための工夫
5.台風通過後にやるべきこと|体調チェックとケアのポイント
6.まとめ
沖縄では、6月〜10月頃までが台風シーズンにあたります。特に7〜9月は台風の接近数が増えるため、愛犬や愛猫の体調に対する影響にもいっそう注意が必要です。
<気圧の変化による影響>
台風によって気圧が急激に下がると、自律神経が乱れ、食欲不振・元気消失・落ち着きのなさ・寝つきの悪さといった不調が見られることがあります。
また、持病がある場合には注意が必要です。例えば、てんかん発作が起きやすくなったり、関節の痛みが悪化したりする可能性がありますので、日頃からの観察と対策が欠かせません。
▼気圧の変化が関節に及ぼす影響についてはこちらで解説しています
<騒音によるストレス>
強風や豪雨による音は、犬や猫にとって強い刺激になります。
震える、物陰に隠れる、呼吸が荒くなるなどのストレス反応が見られることもあり、反応が強い場合にはパニックに陥ってしまうケースも考えられます。
<避難による精神的負担>
台風の規模によっては、避難が必要になる場合もあります。しかし、慣れない場所への移動や避難所での生活は、犬や猫にとって大きな負担となることがあります。
そのため、できるだけストレスを軽減できるよう、避難に備えた準備やトレーニングを日頃から行っておくことが重要です。

本格的な台風シーズンが始まる前に、愛犬や愛猫と安全に過ごすための準備を整えておくことが大切です。
<ペット用品の備蓄>
避難所にすぐ支援物資が届くとは限りません。以下のような必需品は、最低5日分を目安に準備しておきましょう。
・食べ慣れたフードと水
・トイレ用品(ペットシーツ、猫砂など)
・常備薬(持病や皮膚トラブルの薬など)
・予備の首輪、リード、キャリーケース
また、万が一離れ離れになってしまった場合に備えて、首輪に迷子札を付けておくことも大切です。ただし、迷子札は外れてしまう可能性もあるため、マイクロチップを装着しておくことで確実な身元確認につながり、飼い主様のもとへ戻れる可能性が高まります。
<避難所と避難ルートの確認>
避難指示が出た場合、犬や猫と一緒に避難できるかどうかは自治体によって対応が異なります。沖縄県内にはペットの同行が可能な避難所が多数ありますが、すべての避難所で受け入れられるとは限りません。
そのため、事前にお住まいの自治体へ確認を取り、ペットの受け入れが可能な最寄りの避難所や避難ルートを把握しておくことが重要です。
あわせて、避難所ごとのルール(ペットの入室可否、預かり方法など)も確認しておくと安心です。
<クレートトレーニングと基本のしつけ>
避難所では、多くの人や動物が一緒に過ごすため、愛犬や愛猫が落ち着いて過ごせるよう、日頃からのしつけが大切になります。
「待て」「おすわり」などの基本指示に従えるようにしておくほか、決められた場所で排泄できるように練習しておくことも重要です。
さらに、避難所ではキャリーケースやクレートに入れて過ごすことが基本となるケースが多いため、愛犬や愛猫が落ち着いて入れるよう、日頃から慣らしておきましょう。
台風が接近している際は、自宅で過ごす場合でも安全対策を講じたうえで、愛犬や愛猫が安心して過ごせる環境作りが大切です。
・飛来物による窓ガラスの破損に備え、窓から離れた部屋で過ごす
・普段使っている毛布やおもちゃなどを置き、落ち着けるスペースを確保する
・食器やトイレも同じ空間にまとめて設置し、移動のストレスを減らす
・投薬が必要な場合は、おやつと一緒に与えるなど、ストレスを軽減できる工夫を行う
また、備蓄品や避難用品は、人間用とあわせてすぐ持ち出せるように一箇所にまとめておくと、避難時にもスムーズに行動できます。

台風が通過している間は、外出ができない状況が続くこともあり、室内での過ごし方が愛犬や愛猫の安心感に大きく影響します。
暴風域に入っている間は、できるだけ普段と同じペースで静かに過ごすことが、不安を和らげるポイントとなります。
<不安や恐怖による行動への対応>
過度の不安や恐怖から、普段と違う行動が見られることがあります。
このとき、飼い主様が慌ててしまったり、過剰に声をかけてなだめようとしたりすると、かえって不安を助長してしまう場合があるため、できるだけ落ち着いた態度で接し、そばで静かに見守るようにしましょう。
もしキャリーケースやクレートに自ら入って落ち着いているようであれば、毛布やタオルなどを上からかけることで、音や光を軽減させることができます。
自傷行為を繰り返す、嘔吐が止まらないといった症状がある場合には、薬を使った対応が必要になることもあるため、まずはかかりつけ医に電話で相談をしてみましょう。
台風通過中は多くの動物病院が休診となるため、台風のたびに強いストレス反応が出る犬や猫については事前に医師と相談のうえ、必要なお薬を処方してもらっておくと安心です。
<停電時の室温管理>
停電が発生すると、室内の気温や湿度が急激に上昇する場合があるため注意が必要です。
特に夏場は熱中症のリスクが高まるため、非常用電源を活用して温度管理をするか、車内や避難所へ移動するなど、環境を変えて対応することも検討しましょう。
▼熱中症予防のケアについてはこちらで解説しています
台風が通過したあとは、まず愛犬や愛猫の体調に変化がないかを確認することが大切です。
見た目に異常がなくても、台風によるストレスが体調に影響を与えることがあるため、以下の点をチェックしましょう。
✅けががないか
✅食欲は普段どおりあるか
✅便や尿の状態に変化はないか
特にストレスによって消化器の症状(下痢や嘔吐など)が現れることがあります。これらの症状が2〜3日続くようであれば、悪化を防ぐためにも早めに動物病院を受診しましょう。
▼食欲不振の対策についてはこちらで解説しています
愛犬や愛猫とともに台風シーズンを安全に乗り切るためには、事前の準備と心構えがとても大切です。
普段からペット用の備蓄品を整えておくことはもちろん、しつけやクレートトレーニング、避難場所や避難ルートの確認など、万が一に備えた行動を日常的に意識しておくことが安心につながります。
また、台風が接近・通過する時期は動物病院が休診となることもあるため、台風に強い不安を感じやすい犬や猫の場合には、かかりつけの獣医師に相談し、あらかじめお薬を処方してもらうなどの対応を検討しておくと安心です。
沖縄ペット情報サイト
<参考>
JMA‑Net沖縄(n.d.)「発生接近統計」JMA‑Net沖縄. https://www.jma-net.go.jp/okinawa/data/toukei/pdf/hassei_sekkin.pdf (2025年7月1日閲覧)
環境省(n.d.)「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」PDF. 環境省. https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506/ippan.pdf (2025年7月1日閲覧)